教育・保育の特徴

大切にしていること

はだし

近年の子ども達において、土踏まずの形成の遅れが指摘されています(原田、1992より)。この原因として、生活様式の変化、遊びの減少などにより、足を使用する機会が少なくなってきたことなどが推察されます。年長児における土踏まずの形成率について、運動遊びやはだし保育などの積極的な健康に対する取り組みを実施している園とそうでない園とで比較してみると、積極的な取り組みの園の幼児には土踏まずを形成している者が多いともいわれています。

人間しか持っていない土踏まずは、人間が活動するためのいろいろな形態をとる土台であり、クッションであり、脳、神経、筋肉、骨格の発達上、極めて大切な部分です。この土踏まずの形成は大体、幼児期後期にあたりますが乳幼児期のハイハイ(足の親指を強く蹴って這う)や、素足の歩行経験の有無により、その形成は大きく変わります。また、就学前までに基本的諸機能の90%は形成されます。そのため、乳幼児期に、全身の筋肉を使って外界の刺激を肌を通して経験することは、とても重要です。

さらに、過去のデータを見ますと、土踏まずの形成が著しい子どもは、歩行が安定し、転ぶことが少なく機敏に動き、また自ら進んではだしになるという、とても有効な結果が出ています。また、土踏まずが形成され、足の筋肉が発達してくると、筋肉全体を強くさせると共に、内臓筋も強くなり、胃や腸を丈夫にするともいわれています。

以上のことから、当園では、室内においては年間を通してはだしで過ごし、園庭においても4月~11月頃まではだしで過ごしています。さらに、足の親指で蹴る動きを中心に、リズム遊び(馬、カニ、アヒル、スキップなど)、机での斜面登り、山登り、タイヤ引き、はしご登り、竹登り、雑巾がけなどの遊びを取り入れ、土踏まずの形成を促しています。

薄着

子どもの体の中では、大人の1.5倍の熱がつくられますが、体表面積が小さいことにより、外へ放熱される量が少ない構造になっています。衣服で皮膚をカバーすればするほど、気温の変化などの外界の刺激も直接皮膚に伝わりません。よって厚着にするとより一層放熱できなくなり、「うつ熱」状態になってしまいます。新陳代謝の働きを悪くし、風邪や小児喘息になりやすくしてしまいます。

また、厚着は活動しにくく、発達途上の幼児には大きな妨げにもなります。「寒くないかしら」、「風邪をひかないかしら」と、ちょっと鼻水が出たくらいですぐに厚着にさせ、お部屋の中で過ごしてしまいがちですが、それでは寒さに弱い子どもをつくってしまいます。

以上のことから、当園では、できるだけ薄着にして冷たい水や空気に肌を触れさせ、寒さを直に感じることを大切にしています。洋服は、生後2か月までは、大人より1枚多く3か月~6か月までは大人と同じくらい、6か月以降は大人より少なくを目安にし、冬でも半袖Tシャツ、トレーナーで過せるようにしています。そして、繊維は汗を吸収し肌触りの良い綿100%製品をすすめ、活動の妨げとなるようなものは、できるだけ避けてもらっています。

ぜひ、ご家庭でも薄着にご協力いただき、運動神経、運動機能、自律神経、血管の働きを促し、ご家庭と園双方で丈夫で健康な体をつくっていけたらと思います。

布オムツ

紙オムツが、改良を重ね進化したことにより、赤ちゃんは不快さを感じなくなり、オムツ交換の回数も減ってきています。そのため、オムツ離れが遅れているといわれています。実際に、2歳、3歳から入園してくるお子さんの中では、今まで紙オムツで過ごしてきたために排泄が自立しておらず、そのことを心配されているお母さんが多くいらっしゃいます。乳幼児の排泄の自立は、排泄後に言語もしくはそれに準ずる手段で排泄を伝えることを繰り返しながら行われていきます。そのためには、オムツが汚れた“不快さ”を感じ、大人にキレイにしてもらえた際の“気持ち良さ”を感じることが大切です。

保育教諭はオムツ交換をする際に、赤ちゃんとスキンシップをとりながら、「オムツが濡れて気持ちわるかったね」、「オムツを替えて、気持ちいいね。よかったね」などと“不快”を“快”にする言葉がけを行っています。このような1対1でかかわれるオムツ交換の時間は、とても大切でかけがえのないものだと考えています。

以上のことから、当園では、布オムツを使用することで、早いうちから不快さと気持ち良さを感じられるようにしています。2歳になる頃には自分でトイレに行き、排泄ができるようになっていきます。活動が活発になる3歳を過ぎる頃までには、パンツで過ごせるようになっていたいものですよね。

遊びと活動

ハイハイとお座り

ハイハイとお座り

ハイハイは、直立歩行の獲得のために必要な抗重力筋を育てるために重要です。このような筋力を育てることは、体幹を鍛えるだけでなく、器用な手・指を育てることにもつながります。脳の手・指をつかさどる部位は言語野に隣接しているために、ことばも豊かになります。また、四つ這いや高這いなどのハイハイを十分に経験していると、転ぶ時にとっさに手が出るため、顔をケガすることが少ないともいわれています。

ハイハイとお座り
赤ちゃんの発達(移行運動)
①首がすわる → ②左右に寝返る → ③旋回 → ④後ずさり → ⑤ずり這い → ⑥四つ這い → ⑦お座り → ⑧高這い → ⑨つかまり立ち → ⑩つたい歩き → ⑪床からの一人立ち → ⑫歩行

四つ這いやお座りができるようになるまで、これだけの過程があります。赤ちゃんは、まず前に進む前に後ろにさがります。赤ちゃんが後ろにさがりだしたら、大人が赤ちゃんの前に位置し、オモチャなどを用いながら、「おいで、おいで」をします。すると、赤ちゃんは前へ進もうとし、足を蹴って前進することを覚えていきます。そして、つま先の蹴りを強めていくと、上手に四つ這いをするようになります。さらに、楽しく四つ這いができるように、馬や滑り台、階段登りなどの遊びを組み入れながら、一人ひとりの子どもに合わせて進めていきます。

また、まだ自分で座れない(背筋が弱い)状態で、大人が座らせてしまうと、不安定になるだけでなく、座ったまま体をゆすって前に進むいざりを覚えてしまいます。歩行器の使用も弊害が出てきてしまう恐れがあります。

ハイハイとお座り

以上のことから、当園では、正しいハイハイと正しいお座りのために、十分な期間ハイハイをし、自分の力でお座りができるまで待つことを大切にしています。そのため、自分で座れるようになるまでは、ベビーカーを使用し横になった状態でお散歩に出掛けたり、一人ひとり抱っこをして授乳や食事の介助を行っています。

ぜひ、ご理解の上、ご家庭でも、急がずゆっくりと待つことを心がけ、お子さんの発達を正しく促していけるよう、ご協力をお願いいたします。

描画活動

描画活動

幼児が心の中の一番大事な事柄を具体的に伝え、表現する主たる手段の第一は、まずお話すること(話しことば)であり、次いで、描くこと(絵)です。「絵」を描くことは胸の思いを語り、伝えるためのかけがえのない手段です。すべての生活のなかで体験したこと、聞いたり見たりしたこと、感じたこと、考えたこと、想像したことなどを具体的なイメージ(絵)に託して表現し、お友達や大人にお話します。このような「具体的なことば」(絵)に託して、文脈をもったイメージを表現する幼児期の描画活動は、絵に込めたお話(話しことば)とより合わされることによって、学童期の書きことば(作文)の基礎を培っていきます。

描画活動

乳幼児期に写実的な絵を描かせようと教え込んだり、型にはめ込んだりしてはいけません。人間の成長発達には、順序があるからです。「絵」は子どもの身体発達(1歳~3歳頃)想像力や感性(4・5歳頃)を顕著に表しており、肩・肘・手首・指先の協応、ゆたかな経験や心情によって変化していきます。それを無視して高度な絵を求めようとしても、子どもの能力や感覚を養うことにはつながりません。そのため、幼児の絵は1歳からの“なぐり描き”や、2歳からの“ぐるぐる丸”を大切にし、その年齢でなければ養うことができないものを、十分に経験させてあげることが大切なのです。子ども達が、豊かな絵を描くためには、私たち大人が子どもの話を十分に聴き、思いを受け止め、共感することが大切です。また、子ども自らが「描きたい」と思えるような体験をさせてあげることも重要です。それは、仲間と思いっきり遊びきる体験や楽しい体験です。当園では、肌に感じたものを「絵」につなげていくために、1対1で子ども達とかかわり、対話をしながら、描画活動を始めています。中には、たくさん遊べるのに「絵」が嫌いな子や、概念画のようなパターン化された「絵」を描く子もいます。しかし、型にはめ込まずに、大人の愛情あふれる働きかけで、次第にのびのび描けるようになり、感動を伝える「絵」に変わっていきます。

このように、子どもの絵は“聴くもの”を合言葉に、ご家庭においてもお子さんの話の内容を共感をもってしっかりと受け止めながら、会話を楽しんでいただけたらと思います。

リズム遊び

一生に一度しかやってこない運動の敏感期である乳幼児期に、発達に伴った運動を繰り返し全力で行い、自分のものにしていくことが重要です。「リズム遊び」は、発達に合った動きを音楽に合わせながら楽しく行います。また、日常生活では使わない筋肉も使うことができ、全身をバランスよく整えることができます。

リズム遊び

足の親指を使う「両生類のハイハイ」や「四つ這い」、「高這い」などは、土踏まずの形成につながる動作であり、人間の歩行(直立二足歩行)にもつながっていきます。また、「リズム遊び」には、1人で自信を持って行う「側転」、「スキップ」、「縄跳び」などや、みんなで力を合わせて行う「なべなべ」、「糸車」など、その種類はバラエティーに富んでいます。このような「リズム遊び」を通して、保育教諭は子どもの身体的発達をあらゆる側面から促し、生きていく上で重要な“しなやかな体”づくりに取り組んでいます。

リズム遊び

以上のことから、当園では、0歳児から「リズム遊び」を取り入れ、ピアノに合わせて素早く動くことにより敏捷性を養い、発達に合った正しい体の動きを楽しく養っています。

創造的な遊び(水と泥んこ)

創造的な遊び(水と泥んこ)

当園は、田んぼに囲まれ、中庭にはつき山や砂場があり、十分な土や水があり、自然に恵まれています。

子どもは水が大好きです。寒い冬でも、水をジャージャー出して喜んでいます。その水を土にかけると泥ができ、雨上がりの園庭はいろいろな泥んこができあがり、子ども達の絶好の遊び場となります。応答性と多様性が高い自然物(砂、土、水、泥)での遊びは、成長発達においてとても重要です。

子ども達は、水と泥の中で、全身を使ってダイナミックに楽しんだり、傾斜を利用して川やダムを作って、それをどんどん広げていったりして楽しみます。そして、お団子屋さんやハンバーグ屋さん、チョコレート屋さんなどと、ごっこ遊びにも発展させていきます。このように、子ども達は、どんな形にも変わる泥の性質を飽きることなく楽しんでいます。子どものもっている創造性(想像性)は、次から次へと泉のように湧き出てくる、とてもたくましく限りないものです。

以上のことから、当園では子ども達の創造性(想像性)をもっともっと伸ばし発揮できるように、水と泥んこを使った遊びを大切にしています。

泥んこ遊びをさせるためには、皆様のご理解とご協力が必要となります。お子さんが、泥だらけになった真っ黒なズボンやパンツを持って帰りましたら、「いっぱい遊べてよかったね」と喜び、ぜひ、どんなことをして遊んだのか、お子さんのお話に耳を傾けてあげてください。

創造的な遊び(水と泥んこ)

お散歩と遠足

お散歩と遠足

自然の中では、子ども達は目を輝かせて、いろいろなことを興味深く知ることができます。図鑑やテレビ等で草花や虫を見るのと違い、香りや色や動きを実際に見て感じることは、子ども達の五感をさらに豊かにさせ、情緒の安定にもつながります。お散歩での虫との出会いは、子ども達の探求心を強くし、小さなものへのいたわりの心を育てます。お散歩先で、輝いている子ども達の姿を見ていると、「もっと体験させてやりたい」、「もっと感じて欲しい」と感じずにはいられません。

お散歩と遠足

また、自然の空間は、集団を受け入れる寛大さがあり、土や葉や虫など応答性の高い物で満ちあふれています。自然の空間には、子どもの差異を受け止める多様性があります。体を動かすことが好きな子どもは、登ったり渡ったりすることに挑戦し、木の実や花を好きな子どもは、それらを集めそれぞれの関心に合った遊びを自分で発見します。このような自然の中では、子ども達が自ら自分に合った遊びを発見し深めていくことができます。そして、楽しみながら歩くお散歩を通じて、足腰の発達は進み、しっかりとした歩行になり、バランスのとりづらい田んぼや小石の道を歩けるようになります。徐々に長い距離も歩けるようになり、さらに、交通ルールも体で覚え自然と身に付いていきます。

お散歩と遠足

異年齢でのお散歩では、小さな子どもの手を引いて出掛ける大きい子は、小さい子の歩幅やスピードに合わせてあげ、いたわってあげます。一方で、手を引かれている方は、安心しながらも「頑張るぞ」と意気込み、早くお兄さんやお姉さんのようになりたいという、憧れの気持ちが芽生えてきます。このように、異年齢での心と心の触れ合いも見ることができます。

お散歩と遠足

また、当園では、近くに歩いて行くだけでなく、バスで遠くに出掛けていく遠足も大切にしていきます。危なくない、十分に歩ける場所、カニやザリガニがいて自分で獲れる場所、身近な花がいっぱいある場所、果物が実っている木から、自分の手で採れる場所、階段や山や起伏のある場所など、年齢や目的に合わせて、体験してほしい四季折々の自然を求め、バスに乗って出掛けて行きます。遠足では、安心して様々な園外の自然に触れることができるように考え、毎年年齢に応じて、「群馬の森」、「桐生ヶ岡公園」、「大室公園」、「伊勢崎まゆドーム」、「市民のもり公園」「こども動物自然公園」、「群馬県立自然史博物館」、「昆虫の森」、「生涯学習センター」、「児童文化センター」、「小平の里」、「せせらぎ公園」、「みかん狩り」、「りんご狩り」などに出掛けています。

お散歩と遠足

このように、お散歩や遠足とひと口に言ってもいろいろな要素が含まれており、この幼児期の年齢にはなくてはならない大切なものです。子どもが自ら知ろうとする姿は、いつになっても忘れてはならないものであり、私たちもできる限り、自然の中でのびのびとした保育を行なっていきたいと思っています。

山登り

山登り

3歳児、4歳児、5歳児になると、季節の良い時期に数回、赤城山(長七郎山、地蔵岳、荒山高原、鍋割高原、鍋割山、大滝、不動尊)や榛名山、茶臼山、庚申山などに、山登りに出掛けます。子ども達は、小鳥の鳴き声や川のせせらぎを聴きながら、足場の悪い石の上をどうやって登れば良いか考えながら登ります。また、お友達同士「頑張って」や「大丈夫」という言葉を掛け合いながら登り、頂上にたどり着いた時には、何とも言えない満足感を味わうことができます。それは、同時に「やればできるんだ」という自信にもつながり、心を大きく成長させます。

山登り

このように、当園では、山の大自然に触れ、足腰を丈夫にすること、根気、注意力を養うこと、感動する心を育てること、やり遂げた満足感を味わうことを目的として、山登りを行なっています。

山登り

ぜひ、ご家庭でも、お子さんの感動したことや一生懸命に頑張って登った経験などのお話に耳を傾けていただき、一緒になって喜び共感し、会話を楽しんでいただければと思います。